今回はなめたボルトとそれが外れるまでの長い道のりをたどる物語です。
なめたネジやボルト、どうやって外そう・・・?どんな手段があるのかな?という方に読んでいただけるととてもうれしく思います。
それではよろしくお願いいたします!
ナビブラケット取り付けようと思ったんです!
TOURATECH社のナビブラケット。これ、5年くらい前に購入して(当時はまだ代理店がツラーテックだったと思うが)そのまま放置してたんですよね。
オフロード走行のための準備で色々着けたりしたときに、ちゃんとしたナビブラケット着けといたほうがいいかなと思って、ついでに作業しちゃえばいいと思ってたんですよ。
「ついでに」これが悲劇のはじまりの第1キーワード。
10分で終わると思ってたんです!!
上に示した取扱説明書は海外パーツにありがちな簡潔さですが、「こことここをチョイと替えるだけさ!」みたいなカジュアルさの説明だったので、正直、作業自体を甘く見積もりすぎていました。
これくらいなら10分ちょいで終わるだろう、とね。なんという見通しの不十分さ。
「これくらいなら」これが悲劇のはじまりの第2キーワード。
舐めプの結果、ボルト穴をなめちゃった・・・。
さあ作業開始。向かって左側のトルクスボルトはソケットもちゃんと入り、少し硬いなと思いながらもサクサク外すことができました。
問題は右側の2つです。上下ともソケットが入る余裕があまりなく、ちょっと工夫が必要でした。
更に悪いことには、自分でやったのかどうか定かではありませんが、右下のボルトはやや頭がなめていました。
なんとかなるだろう!!と楽観的に作業を始めた矢先、ズルっと滑って、やばいと思ったときには時既に遅し、完全になめてしまっていました。
「なんとかなる」これが悲劇のはじまりの第3キーワード。悲劇が幕を開けてしまいました。
※ちなみに右上のボルトは一応、L字のレンチでなんとか外すことができました。なめてなければこんなもんや、って話。
なめたボルトを外すための試行錯誤
さあ、なめたボルトを外していきます。
この時点で、まだヘッドライトユニットを外すなんてことは考えてません。めんどくさそうなので、最悪な状況になったら外してなんとかしよう。とか思っていました。
ここで考えを改めておけばな・・・と思わずに入られません。
とりあえずめちゃくちゃ押し付けて回してみる
思い切り押し込んで回してみました。いちおう、噛んでいる感じはあるんですが、回し方向のトルクに耐えられない雰囲気です。
どんだけ固く締まっておるのだ。怖いので、一旦やめました。
太めの輪ゴムをかませる
ネジをなめてしまったときの定番、太めの輪ゴム。
トルクスソケットの頭に噛ませて試してみたものの、無理そう。逆にゴムが邪魔で、ちゃんと噛み込まない。
ここまでは、家の中にあるものでしたので、まだ費用ゼロ。
ネジザウルスで挟んで回す
ネジザウルスで挟んだら取れるのではないか?と考え、ネジザウルスを購入。
ネジザウルスで挟むときに、周辺のバーの部分をガリガリしてしまい後悔。
この段階ではネジザウルスで挟んだところで回転させることはできませんでした。挟み込みはガッチリいけますが、挟むための握力に力が入りまくっていて、回転させるためのトルクがうまくかけられなかったのです。
挟む力は強いので、日常生活で使用するようなプラスネジとかならカンタンに回せると思います。ただ今回のようなケースでは難しかったと言うだけ。いくらなんでも硬すぎだろ?
購入したのは↓です。
ここで、ヘッドライトを取り外し。
Haynesのマニュアルを引っ張り出してきて、ウィンドスクリーンとヘッドライトユニットの取り外し方を探します。ウィンドスクリーンはボルト4本外すだけ、ヘッドライトユニットに至っては2本外すだけです。あとは電気系統のプラグを抜けば、ヘッドライト周りはカンタンに外すことができます。
たったこれだけ。え?ディーラーのお兄さんよ、時間かかるっていってたじゃん。
実際にやってみると、記録用に写真を撮りながらやったので30分はかかりましたが、15分もかからずに終わるような作業でした。具体的な取り外し方や戻す際の締付けトルクなどは別記事に書きますが、あっさりしすぎて拍子抜けしちゃうね。
最初からヘッドライトユニットを取り外しておけば、こんなに苦労しなかったのに・・・と言っても後の祭りです。
ネジバズーカを打ち込んで回す
ヘッドライトが外れて、作業スペースが広く取れるようになったので、次の手を打ちます。
エンジニアさんではネジザウルスの他に、ネジバズーカという商品もあります。かなり重症なので重症用を選択。
重症のなめたボルトに新しい溝を打ち込んだ後、回すためのハンドルをセットして、押し付けながら回してみます。
しかし・・・打ち込みが足りないのか?うまく回りません。なんか傷跡をさらにえぐるような形になってしまいました。
ネジバズーカについては、ハンマーが存分に振れるスペースがあり、かつ垂直方向で使用できる場合はいけるかもしれませんが、今回のように作業スペースが狭く、水平方向の場合は威力が発揮しにくいと感じました。ガッチリ打ち込んで、全身で体重がかけられるような場合はすごくいいと思います。
他のハンマー打ち込み系のものも同じ結果になりそうなので、ネジバズーカまでにしておきました。もう最後の手段としてボルトをカチ割るか?その一歩手前は、動力に頼るほかありません。
とりあえず、気休めに5-56を吹いて放置。他のボルトを見てみると、けっこうエグい量のネジロック剤がついているみたい。
そして動力に頼る:インパクトドライバー+ネジ外しビット
もう人力ではちょっと無理。と判断して、インパクトドライバーを使ってみることに。
ちょうどAmazonでセール価格になっていたこともあり、HiKOKI(ハイコーキ)の7.2Vペン型インパクトドライバー、ANEXなめたネジ外しビットを購入。
ワイヤレスイヤホン買い替えのために地味に貯めていたギフト券7500円分をここですべて投入することになってしまいました。泣ける。
まずはドリルで天を・・穴を掘る。
まずはドリル部分を使って、右回転で穴を作ります。3〜5mmくらい穴が掘れたらオッケー。正確に測ろうとしたらノギスなんかで測ったらいいと思います。僕は目分量で行きました。
そしてビットを差し替え、噛み込ませ、抜く。
それでビットをひっくり返して、穴をほったところに強く押し当てながら、今度は左回転でゆっくり回転させていきます。すると・・・
えっ折れた・・・?
折れちゃいました。目一杯トルクかけたので耐えきれなかったんだと思います。どんだけ強く締まってるんだ、このボルトは。
もう一つ大きいので更にえぐろうと思ったのですが、ネジ外しビットの先端部が一部、作った穴の中に残ってしまい、試せませんでした。
最終手段その2:バイスザウルス
もう後には引けなくなりました。もう掴んで回すしかないので、とりあえず先だって使ったネジザウルスを再度取り出して使用。
ネジザウルスで少し回転させることに成功
すると、ペン型インパクトドライバーで最大25Nmのトルク(※スペック上)が掛かったためか、思いっきり握りしめながら緩め方向に回すと、少し回るようになっていました。光明が見えた!
ただ、ネジザウルスは握力の消耗が激しく、更に噛み込みが甘かったりずれていたりすると正確に力を伝達することが難しい。この時点で、まだ回転するのにかなりのトルクが必要な感じでした。
シン・最終兵器「バイスザウルス」を発注
とここで、Twitterでネジザウルス公式アカウントからバイスタイプのネジザウルス「バイスザウルス」もあるよ!とアドバイスを頂いていたので、早速Amazonに発注。
この期間、毎日Amazonで配達してもらっているので、配送会社に覚えられている可能性があるな。
抜けました!!ありがとうバイスザウルス!!!
そして翌日バイスザウルスが届きました。
こんな感じで掴んで、がっちりホールドさせて緩め方向に回すと・・・ゆっくり、だが確実に緩んできたじゃないですか!これはすごい。
ネジザウルスと比べると、バイスザウルスは握力でホールドする部分をバイスの力で代理してもらうことができるので、回転方向の力に集中することができます。しかも、先端がネジを噛むための専用形状になっているので、ホールド力も抜群です。これは画期的。
最初からこっちにしておけばよかったのにな。バイスザウルスはめちゃくちゃおすすめです。一家に一台レベルで必需品の予感がします。
本当にありがとうございました。超進化版って書いてあるのは誇大広告じゃなかったです。
バイスザウルスしか勝たん。
取れたボルトの比較
形が変わっちゃってます。どんだけ強い力をかけたんだ。主にバイスザウルスの噛み跡ですが。本当に取れてよかった・・・。
手間を惜しんだために無駄なことをした
手間を惜しまなければ1時間ちょいで終わりそうな作業を、なんと総計で半日ほど使ってしまいました。
さらにいろいろな手段を試すためにたくさんの買い物をしてしまいました。総額で20000円ほど使ってしまいました。今後、ネジの頭をなめてしまったときに使えるものばかりなので、すべてが無駄とは言いませんが、ちょっと疲れちゃいましたね。
インパクトドライバーは前々から欲しかったので、いい機会になったとポジティブに捉えることもできますが・・・まあちょっとした出費ですね。
このようなおバカな僕のような人間のことを、「一文惜しみの百知らず」と言うそうです。英語でいうと”Penny wise and pound foolish.”(訳:小銭に賢く、大金に愚か)です。勉強になりましたね。急いては事を仕損じる、急がば回れ・・・。このような故事成語やことわざなどは枚挙にいとまがないもので、いかに文明が進化発達しても先人から学べない人間は損をするものなのでございます。
そういうわけなので、R1200GSに社外のナビブラケットを装着しようとした場合には必ずヘッドライトユニットを外してから取り掛かったほうがいいです。断然作業のしやすさが違います。トルクスネジの頭をなめてしまうこともないでしょう。
フゥ・・・。
おわりに
長かったなめたネジを外すという旅路もここで終了でございます。
そもそも、ねじがうまく回らない、やばいなめそうっていう手前で止めてさえいれば、こんな苦労することもなかったんです。しかし、僕のように経験からしか学べない人間もいるのでございます。
この記事を読んだみなさんは、貴重な時間を無駄になさらないことを願います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。へば!!
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